サーカディアンリズムと睡眠の深い関係
「夜になっても眠れない」
「朝起きるのがつらい」
そんな悩みを抱えていませんか?
現代人の多くが感じている睡眠の問題、その根本には体内時計と言われている「サーカディアンリズム(概日リズム)」の乱れが潜んでいる可能性があります。
今回は、睡眠障害や不眠の改善に大きく関係するサーカディアンリズムについて、わかりやすく解説します。

マッチ鍼灸整骨院
院長 町村 祐輔
• 鍼灸師・柔道整復師
• 夏の甲子園出場経験有
国家資格取得後、整形外科・消化器外科のリハビリ室長を経験、オリンピックトレーナーの元でトレーナーを経験した後、マッチ鍼灸整骨院を開業
臨床歴は20年を超え、鍼灸や整体による手技療法の可能性を日々探求しています。
1. サーカディアンリズムとは?
あなたは規則正しい生活はできていますか?
夜勤などがあり難しい方もいらっしゃると思いますが、一般的には一日のリズムは大まかに決まっていると思います。
それが乱れる事で様々な問題が起きてきます。
1-1. 体内に備わる24時間のリズム
サーカディアンリズムとは、生まれた時から持っている約24時間周期の生理的なリズムのことです。
夜行性の動物もいますが、人間は「朝になると目が覚めて、夜になると眠くなる」のが、自然なリズムです。
このリズムは、脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という部分でコントロールされており体内時計の中枢として機能しています。
- 目から入る光刺激
- 食事
- 運動 など
これらの過度な刺激が長期的に続くと自然なサーカディアンリズムが乱れ体に不調をきたす場合があります。
1-2. 恒常性(ホメオスタシス)との違い
睡眠障害や質の良い睡眠を考える際にサーカディアンリズムと混同されやすいのが、「恒常性(ホメオスタシス)」です。
睡眠における恒常性(ホメオスタシス)とは疲れたら眠るといったシンプルなものです。
つまり、活動中に酷使した脳や体を睡眠により休ませる事が出来ればおのずと体は整ってきます。
活動量に対する睡眠の質と量により脳や体に疲労を溜めない工夫が必要です。
- サーカディアンリズム
1日周期で規則正しく眠気や覚醒をコントロールするしくみ - 睡眠における恒常性(ホメオスタシス)
疲れたから脳や体を休ませる機能
この2つの機能がバランスよく働くことで、私たちはスムーズに眠り、気持ちよく目覚めることができるのです。
2. サーカディアンリズムの乱れが引き起こす不調
ここまではサーカディアンリズムの機能についてお話してきましたが、乱れると体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
2-1. 不眠・早朝覚醒・中途覚醒
夜型の生活や不規則な睡眠時間、スマートフォンの使用によるブルーライトの影響などはサーカディアンリズムが乱れる原因となり、睡眠の質は著しく低下します。
慢性的にサーカディアンリズムを無視した生活を続けていると、
- 夜になっても眠れない
- 朝早く目が覚めてしまう
- 眠りが浅くてすぐに目が覚める
などの症状があらわれてきます。
2-2. 日中のだるさや集中力の低下
体内時計がずれることは睡眠障害だけでなく体に様々な影響及ぼします。
- 日中の眠気や倦怠感
- 仕事や授業の成績低下
- イライラしやすくなる
- 食欲を抑えられない
- 風邪をひきやすくなる
など、サーカディアンリズムの乱れによる体調不良が起きる場合があります。
3. 体内時計のズレが「肥満」や「糖尿病」にも関係?
最近の興味深い情報として、近年の研究では、サーカディアンリズムの乱れが単なる睡眠の問題やそれに伴いうつ病などの精神障害だけでなく
- 肥満
- 高血圧
- 糖尿病
などの生活習慣病の発症リスクを高めることがわかってきました。
特に夜寝る前の食事は通常内臓を休ませるべき時間なので本来の体内リズムと消化のタイミングが合わず、血糖値が上がりやすくなるというデータもあります。
つまり、眠れない、倦怠感だけでは済まされないのが体内時計のズレなのです。
4. サーカディアンリズムを整える方法
サーカディアンリズムは人間の本能的なリズムなので変える事は難しいです。
中には夜型の方がいらっしゃるので、そのような方は昼夜逆で考えていただけたらと思います。
一般的な症状は鍼灸と整体、段階的な生活習慣の見直しと運動で解消されることが多いです。
しかし、不安な方は一度病院を受診して検査を受けてからご来院下さい。
4-1. 朝日を浴びる
体内時計が乱れている方は朝起きても部屋が暗い方が多く、すぐに活動モードになれません。
なので、朝目が覚めたらすぐに太陽の光を浴びることが効果的です。
これにより、脳が「朝だ」と認識し覚醒スイッチが入ります。
スイッチをオンにした後、明るい所で活動していれば15〜16時間後に自然と眠くなるように(スイッチオフ)調整されます。
4-2. 食事時間も規則正しく
不眠に悩む方は意外と食事も不規則です。
実はこれも体内時計に影響します。
朝・昼・晩の3食(2食の方も)を毎日できるだけ同じ時間に摂ることで、リズムが整いやすくなります。
「今日は12時にご飯食べれたけど昨日は忙しすぎて昼食が15時だった」
みたいなことにならないスケジュール管理が必要です。
4-3. 就寝前のスマホ・PCを控える
近年問題になっているスマホやタブレットから発せられるブルーライト、この光は脳を昼間と錯覚させメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌を妨げます。
睡眠前、ベッドにはいって作業や動画をしている方は要注意!
日中の活動効率の減少を招いている可能性が高いです。
寝る1時間前は画面を見ない習慣をつけましょう。
4-4. 寝る・起きる時間を一定に
休日前の夜更かしや飲み会、深夜の締めのラーメンで翌日は昼間で爆睡、このような不規則な生活はサーカディアンリズムを乱す大きな原因です。
たまにはよいですが、倦怠感や不眠の方は飲み会や深夜の暴飲暴食は控え、平日・休日問わず、毎日起床、睡眠を同じ時間にすることを意識しましょう。
5. 時差ボケとサーカディアンリズム
海外旅行に行かれる方が覚えておいてほしいのは、「時差ボケ」も、実はサーカディアンリズムのズレが原因です。
たとえば日本からアメリカ西海岸へ行くと、体はまだ日本時間に沿って動いているため、現地の夜になっても目が冴えて眠れなくなるのです。
「時差ぼけ」による症状は不眠やだけでなく
- 眠気
- 倦怠感
- 食欲不振
- 頭痛
- イライラ
このように、私たちの体内時計は非常にデリケートで、ほんの数時間のずれることでも体の不調を引き起こしてしまうのです。
6. 体内時計についてのまとめ
サーカディアンリズム(体内時計)を意識した生活を送ることは、不眠に悩む方だけでなく健康に生活していく為に必要な事でもあり、
質の良い睡眠を得る為に必要な事です。
現代社会にはサーカディアンリズムを乱す要因が昔より増えました。
- 暗い寝室のベッドの中でも動画が見れるスマートフォン
- 深夜に小腹が空いたら夜中でも営業しているコンビニ
- 電子レンジやお湯を注げばすぐにできる冷凍食品やカップ麺
これらの便利な手段も健康被害を及ぼすリスクがあるという事を理解して使用すべきです。
睡眠による問題を抱えている方はサーカディアンリズムを乱す習慣を見直し、朝日を浴びる事や規則正しい生活を心がけるなどのちょっとした習慣の改善で体内時計は驚くほど整います。
鍼灸や整体で歪みや自律神経を整える事はその生活習慣の見直しによる不眠対策の効果を高めます。
不眠や睡眠障害に悩む方こそは自分の「体内時計」に目を向けてみてください。
それが、自然と眠れる毎日への第一歩です!