近年の中高校生に肩こりが多い理由
最近来院される方のお子さんが肩こりに悩まされているという相談を受ける事が増えました。
テレビなどでも特集が組まれている実態を目にし全国的に中高生の肩こりは年々増加傾向にあるそうです。
では、なぜ中高校生の肩こりが増加しているのでしょうか?
それは、現代の生活習慣や学習環境の変化が大きく関係しています。
この記事では、なぜ中高校生に肩こりが昔より多くなったのか?
その原因と肩こりにより起こりえる将来の健康被害とそのようにならないための予防策を詳しく紹介し専門家の意見を交えながら具体的な対策をご紹介します。
中高校生に肩こりが増加した理由
1. スマホやタブレットの長時間使用
昭和から平成、令和へと時代の移り変わり、通信機器の発展ともにPCやスマートフォン、タブレットの普及が進み今では国民のほとんどが連絡手段や検索端末としてスマートフォンやタブレットを使用するようになりました。
近年は中高生でもスマホで連絡を取り合い、授業もタブレットを使用することが当たり前の時代になりつつあります。
多くの高校生が授業中の教科書を見る時間に加え、スマートフォンやタブレットを見る時間が増えたことにより長時間うつむいた姿勢で過ごすことが増えました。
大人でもになるスマホ操作が原因の「ストレートネック」や「猫背」姿勢は、骨がまだ未発達の中高生には背骨の湾曲形成や筋力、学習能力にも深刻な影響を与えます。
首や肩に過剰な負担をかけることは肩こりの大きな原因ですが、中高生にとっては「肩がこる」以外の大きな影響が発生することも考えられるので早期の対処が必要です。
専門家によると、首が前に傾く角度が増えるごとに、首や肩への負荷が増えていくことが分かっています。
例えば、30度傾けた場合、首にかかる負荷は約18kgになるとされています。
2. 学習環境の影響
最近の中高校生は、机に向かう時間が非常に長いです。
授業、塾、自宅学習などの場面で前かがみの姿勢が習慣化し、肩や首の筋肉に負担がかかります。
昔のように部活の特待や推薦を受けるにもスポーツだけできればよい時代ではなくなり、学力や出席日数、提出物などを総合的に評価するようになりました。
特に、受験生は1日の多くの時間連続して机に集中して向かうことが多いため、肩こりを訴えるケースが多く見られます。
また、身長によっては学校の椅子や机が体に合わないこともあり、不自然な姿勢が続き肩こりの原因になります。
3. ストレスと精神的緊張
最近の中高校生は、勉強やリアルな人間関係だけでなくSNSなどの普及により夜中のDM、好きだ、嫌いだ、など思春期のデリケートな時期にメッセージにる文字だけのコミュニケーションを取らなければいけません。
文字は便利な表現方法ではありますが、発信した側の意図と受け取り側の理解が違う場合誤解を招くことがあります。
また、一対一のコミュニケーションからグループでコミュニケーションをとる事も増え、発信の一つ一つに神経をすり減らしている中高生も多いのではないでしょうか?
そのプレッシャーによるストレスが交感神経を優位にさせ、筋肉が緊張しやすくなりそれが肩こりの原因となることがあります。
精神的な緊張が続くと、無意識に肩をすくめる動作をすることが多くなり、肩や首の筋肉が固くなることも報告されています。
4. 運動不足
学校生活が忙しく、特に部活動をしていない生徒や勉強中心の生活を送る生徒は、デスクワークの社会人同様に長時間座っていることが多く、日常的な運動不足が肩こりを引き起こしている可能性が高くなります。
特に、成長段階での運動不足筋は体幹を支持する機能も弱く、長時間同じ姿勢を保つことが難しいため、肩や首の筋肉が疲労しやすくなります。
高校生の肩こりを防ぐための具体的な対策
中高生の肩こり成績や受験の合否に大きく関連してきます。
成長段階で急激に身長が高くなる際に骨の成長に筋肉が追い付かず肩こりのような症状が発生する可能性はありますが、ごく稀な症状です。
成長段階で肩がこるという症状が発生するというのは体にとって大人が抱える肩こりよりよっぽど体にとって危険です。
子供だから、若いから、本人も親も放置しがちですが、肩こりを解消するためには日常生活での習慣を見直し、適切なセルフケアを取り入れていくことが重要です。
1. 正しい姿勢を保つ
- 背中が円くならない工夫
肩をリラックスさせ、背筋を伸ばし、頭を無理なく真っ直ぐに保つことが大切です。
スマホを使うときは画面を目線の高さに近づけ、うつむき姿勢を避ける工夫をしましょう。 - 学校の机と椅子の調整
机や椅子の高さを体に合ったものに調整することで、前かがみになるのを防げます。
2. 適度なストレッチやエクササイズ
おすすめストレッチ
- 首をゆっくりと前後左右に動かす。
- 肩を回して筋肉をほぐす。
- 両手を背中の後ろで組み、肩甲骨を寄せる動きを繰り返す。
これらを授業の合間や勉強の休憩時間に取り入れると、筋肉の緊張を解消できます。
3. 適度な運動を取り入れる
• 定期的な運動は血流を改善し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
ウォーキングやジョギング、ヨガなどを取り入れることで、肩こりを予防できます。
• 部活動で体を動かす生徒は肩こりが少ない傾向にあるため、適度な運動習慣をつけることが有効です。
4. 学習環境の見直し
• 長時間同じ姿勢で机に向かうことを避け、30~40分ごとに5分程度の休憩を取りましょう。
この際に立ち上がって歩いたり、軽くストレッチをするだけでも効果があります。
• 勉強中に目線を上下させるため、教科書やノートをスタンドに立てると負担が軽減します。
5. リラクゼーションとストレス管理
• 深呼吸やマインドフルネスを取り入れることで、自律神経のバランスを整え、筋肉の緊張を和らげます。
• 十分な睡眠をとることも肩こりの改善には不可欠です。睡眠不足は筋肉の疲労回復を妨げ、肩こりを悪化させる要因になります。
6. 適切なアイテムを活用
• 磁気ネックレスや温熱アイテムを使って、肩周りをケアするのも良いでしょう。また、座るときに姿勢をサポートするクッションや腰当てを利用するのも効果的です。
専門家のアドバイス
お付き合いのある専門家の方にお話を聞いてきましたので一部紹介いたします。
整形外科医の意見
「高校生の肩こりは、成長期特有の筋力不足や生活習慣が原因になりやすいです。
姿勢を改善し、適度な運動をすることが最も効果的です。
また、痛みが強い場合は肩こり以外の別な問題が隠れている可能性がありますので我慢せずに整形外科で早めに診てもらうことも必要です。」
理学療法士の意見
「肩こりを防ぐには、日常生活の中で『動く』ことを意識することが大切です。
例えば、通学時に背筋を伸ばして歩くことや、休憩中に簡単なストレッチをすることが肩こり予防に効果的です。」
中高生の肩こりまとめ
中高校生の肩こりが増えている背景には、スマホやタブレットの普及によりいつでも画像や動画を見ることができるようになったことや長時間の学習による座り時間が長くなった事、SNSなどの人とのコミュニケーションによるストレスや少子化に伴う我が子への期待によるプレッシャーそして運動不足といった現代特有の問題が絡んでいます。
しかし、正しい姿勢や適度な運動、学習環境の見直しなど、日常生活に小さな改善を加えることで予防・改善が可能です。
子供は知らず知らずのうちに大きくなっているのが普通だったのですが、今は子供の変化に気が付いて親は冷静に対応できる知識をつけておかないといけないと思います。
その知識を使わない事が一番良い状況だと思いますが、肩こりは慢性化すると集中力低下や体だけでなく精神的な健康への影響が発生することがあります。
適切なケアを行い、健康的な生活習慣を身につけることが中高生が夢をかなえる第一歩です。
夢に向かって努力する中高生を応援しています。