腰痛の東洋医学的メカニズム
腰痛は現代社会において多くの人が経験する一般的な症状ですが、東洋医学では西洋医学の痛み止めや湿布のような対象療法や手術などは行わず、発症メカニズムを西洋医学独自の視点から評価し診断し鍼灸や漢方薬により体質を改善することで腰痛を改善していきます。
東洋医学では、人間の体は「気」「血」「水」などが体内を流れ、健康が保たれると考えがあります。
これらのバランスが崩れることで、腰痛などの不調が現れるとされます。
ここでは、東洋医学の観点から腰痛が発生するメカニズムについて解説します。
腰痛の東洋医学的原因と対策
西洋医学的には腰痛と聞くと筋肉の慢性疲労や脊柱管の狭窄、ぎっくり腰のような筋肉の捻挫などによるものが考えられますが、東洋医学では西洋医学とは似て非なる一般的ではない考えの為受け入れるのに時間がかかるかもしれませんが、知っておくと腰痛の対処の引き出しが増えると思いますので是非最後までお読み頂き腰痛対策の参考にしてもらえたらと思います。
1. 気の滞り
東洋医学では、「気」というエネルギーが体内を流れ、生命の活動を支えるという考えがあります。
腰痛が発生する原因の一つとして、この「気」の流れが滞ることが挙げられます。
特に、長時間同じ姿勢でいることやストレスの蓄積により、気がスムーズに流れなくなると、筋肉が固くなっていき腰に痛みを感じやすくなります。
- 原因: ストレス、同じ姿勢での作業、過労など
- 対策: 気の流れを整えるための鍼灸や気功、呼吸法を行うことで、気の巡りを改善することが重要です。
2. 腎の虚弱
東洋医学では「腎」は腰と密接な関係があるとされています。
腎の機能が低下することで腰痛が引き起こされると考えられています。
腎は体内の「精」を蓄え、生命力や気の流れをコントロールする役割を果たします。
腎が弱まると、腰の周囲の筋肉や骨に対して十分な気を供給ができず、腰痛を引き起こしやすくなります。
- 原因: 加齢、過労、過度な性交渉、長時間の立ち仕事や重労働
- 対策: 腎を補う食事や生活習慣を見直し、適度な休養をとることが大切です。
また、漢方薬では「八味地黄丸」など、腎を補う処方が使用されることがあります。
3. 湿邪(しつじゃ)の影響
湿気が多い季節や環境による「湿邪」の影響も腰痛の原因となります。
湿邪が体内に入り込むことで体内を流れる気血の状態もジメジメした状態になり、流れを妨げます。
その状態が続く事で腰の周辺に痛みや重だるさを感じるようになります。
特に梅雨時期の湿度が高い気候の時に腰痛が悪化する場合は、湿邪が関与している可能性があります。
- 原因: 湿気の多い季節や環境、冷え、雨の日に悪化する腰痛
- 対策: 温めることで湿邪を取り除く「温熱療法」や、利尿作用のある食材ともいわれているはとむぎや冬瓜を摂取することが効果的です。
4. 血瘀(けつお)による停滞
血の流れが滞る事を「血瘀(けつお)」と言われていて、これも腰痛の原因となりま。
この状態は、血流が悪くなり、血がスムーズに体内を流れず停滞している状態です。
その為、筋肉や組織に十分な栄養が行き渡らなくなる状態になっています。
慢性的な疲労や外傷によって血が滞ると、腰の部分に痛みやしこり、こわばりが現れます。
- 原因: 慢性的な腰の緊張、外傷、運動不足
- 対策: 血行を促進するために、温める施術や漢方薬、適度な運動が有効です。
5. 陰陽のバランスの崩れ
東洋医学では、体内の「陰」と「陽」のバランスにより健康状態を保っているという考えがあります。
腰痛は、この陰陽のバランスが崩れた際に発生することが多いです。
特に「陰虚(いんきょ)」と呼ばれる体液や栄養が不足した状態、「陽虚(ようきょ)」と呼ばれるエネルギーや体内の熱が不足した状態が、腰痛の原因となります。
- 原因: 栄養不足、疲労の蓄積、冷えなど
- 対策: 陰陽のバランスを回復させるために、適度な栄養摂取や休息、温熱療法が効果的です。
腰痛と東洋医学まとめ
東洋医学における腰痛のメカニズムは西洋医学とは異なり、気血の流れや陰陽のバランス、梅雨時期の湿邪の影響など、局所的な問題としてではなく全体的な視点で腰痛について考えます。
腰痛が発生した場合、その原因を一般的な腰の筋肉や血流として考えるのではなく、体全体から診た原因を探し出し、バランスを整えることが重要です。
そして、腰痛を起こしている東洋医学的原因に対して適切な治療と対策を取り入れることが大切です。
ここまでは腰痛になってしまった場合の話をしてきましたが、東洋医学は本来、未病のうちに症状防ぐこと大切にしています。
東洋医学的にこれまで述べてきた原因で腰痛が起こる可能性がある事を頭に入れて事前に対策して腰痛にならない健康な体を手に入れましょう!