腰椎・頸椎牽引療法の効果と疑問
腰や首の痛みで整形外科や整骨院を受診した際に腰や首の牽引をしたことはありますか?
整形外科では筋・筋膜性腰痛、腰椎椎間板ヘルニアや頚椎ヘルニアの診断
整骨院では腰椎捻挫や頚椎捻挫などの施術方法として腰や首の牽引機を使用している医療機関があります。
私も以前整形外科に勤務していた頃、1日数十人の患者さんの牽引をセットしてきました。
鍼灸師の免許を取得したばかりの私はリハビリの知識もまだ浅く腰痛や首の痛み、ヘルニアの患者さんまで牽引療法で症状が軽くなるんだなぁと思っていました。
しかし、整形外科での経験も長くなり勉強していくうちに少しづつ牽引器に対して疑問を持つようになりました。
それは、
牽引って効果あるの?
ということです。
牽引療法の医学的効果
牽引療法の目的と効果については次のようなあげられます。
- 椎間関節周辺の筋肉や組織のストレッチ
- 椎間板、椎間関節の軽度のズレの矯正
- 椎間関節の離開
- 椎間孔を広げる
- 椎間板内圧の陰圧化
- 攣縮した筋肉にを沈める
- マッサージによる血液循環の改善・促進
- 患部の安静・固定
があります。
牽引の適応疾患
頚椎牽引の適応症状
頚椎症・頚椎捻挫・頚椎椎間板ヘルニア
腰椎牽引の適応症状
腰椎捻挫・腰椎椎間板症・腰椎椎間板ヘルニア・坐骨神経痛・腰椎脊柱管狭窄症
確かに効果はありそうです。
しかし、それが目的の椎間に効果があるかと言われると少々疑問が残ります。
牽引療法の疑問点
ではなぜ整形外科のリハビリ室にあり医師の診断のもとおこなう牽引治療器に疑問を持つようになったのか?
それは、
狙った筋肉や軟部組織を牽引できているのか?
ということです。
なぜそのように思うのか?
それは介達牽引だからです。
介達牽引とは皮膚を介して牽引をかける方法です。
脇にパットを入れて骨盤にベルトを巻き固定して引っ張ります。頚椎牽引の固定法
椅子に座った状態で顎と後頭部の付け根を固定して上に引っ張ります。
牽引をかける範囲が結構広いと思いませんか?
筋肉の構造上固い筋肉より柔らかい筋肉が伸びます。
すると牽引したとき固い筋肉が伸びる前に柔らかい筋肉にが伸び、最後に固い筋肉が伸びる事になります。
その為、固い筋肉は柔らかい正常な筋肉を引っ張った最後に伸びます。
つまり、固い筋肉が伸びる頃には正常な筋肉か伸び過ぎ(ハイパー)になっているということです。
よって伸びて気持ちいいのは正常の筋肉であり、目的としている椎間関節の間の筋肉はのびはわずかだと感じます。
2012年の日本腰椎ガイドラインでも有効であるエビデンスが不足しているということでグレードⅠです。
日米問わず整形外科では急性期や慢性期の首や腰の症状に牽引をおこなうようですが、
治療いうより気持ちが良い、満足感があるから患者さんの関係構築に繋がる。
とおっしゃっている医師もいました。
もはや治療というよりそれでは慰安ですよね。
上記に述べたように牽引には様々な効果があげられますが、引っ張って関節の間を広げても牽引器から立ち上がり歩き出せば重力ですぐに元に戻ってしまいます。
牽引後に少し休める仮眠室みたいなものがあればよいですが1日100人以上の患者さんをこなす医療機関では少し難しそうですね!
腰・首の牽引をして症状の改善が見られない方は鍼灸や整体という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?